AP5-PROユーザーガイド

”これまで聴いた中で最も自然な響きのピックアップだ!”
Tommy Emmanuel CGP
”お気に入りのピックアップ・システム。とてもリアルでステージ上でも高いレベルで使える。”
– Eric Johnson

多くのアーティストを魅了する、メイトンサウンドに欠かせないピックアップ・システム”AP5-PRO”の解説です。

2013年のリリース以降、メイトンが世界に躍進するキッカケにもなったプリアンプ・システム”AP5-PRO”。簡単操作でリアルなアコースティック・サウンドを出力可能にした同システムですが、操作が簡単なだけに「音作りに悩む・・・」というご相談もよく頂きます。今回は具体的な操作方法、音作りのヒントを交えてご紹介します。


①MIC
単一指向性コンデンサーマイクの出力レベルの設定です。プリアンプ本体にダイレクト・マウントされており、お好みの角度に変えることが出来ます。基本の位置はXブレーシングの中心辺り、正面から見てサウンドホールで隠れる辺りにセッティングします。マイク位置だけでも音色が変化しますのでぜひお試しくださいね。

②PZ
ブリッジ下にマウントされたピエゾ・ピックアップの出力レベルの設定です。一般的なサドル直下にピエゾ素子を挟むアンダーサドル方式ではなく、ボディー内部から吊り下げる方式を採用しています。

注)サドルの左右にある六角ネジは触らないで!
このネジはピックアップ取付専用です。ノイズ発生、ピックアップ脱落、断線、ブリッジ破損など、メリットは何もありませんので絶対に触らないでください。

③B
低音域のEQです。帯域は約250Hz、±12dBの間でブースト/カット出来ます。12時位置のノッチがフラットです。

④T
高音域のEQです。帯域は約2kHz、6dBのブースト/12dBのカットが出来ます。12時位置のノッチがフラットです。

⑤VOL
全体の出力レベルを決定するマスター・ヴォリュームです。PZとMICで設定したミックス・バランスのまま、最終出力レベルを決定します。

⑥FQ
中音域のフリケンシー・コントロールの設定です。帯域は約600Hz~2.4kHz。12時位置のノッチがフラットです。

⑦MID
中音域のレンジ・レベル設定です。可変域は-8dB~+16dBです。

⑧LED
バッテリー・チェック用のランプです。プラグイン(ケーブルをギターに接続)した時に赤ランプが点灯→2〜3秒で消灯すれば電池残量OK、正常な状態です。点きっ放しになると電池切れですので、電池(単3形乾電池×2)を新しいものに交換してください。


<サウンドメイキング方法>
ここからは基本的な音作り方法をご紹介します。イメージ図をご参照頂きながら、皆さんの環境、プレイスタイルに合ったセッティングを見つけてくださいね。

■ヴォリューム設定
設計上の基準値はPZ(ピエゾ)75%、MIC(コンデンサーマイク)25~30%辺りです。ノイズが少なく、ハウリングにも強い設定がこの辺りですが、お好みの配分を見つけてください。

上記のPZとMICで設定した出力のミックス・バランスを維持したまま、最終の出力レベルを決定するのがVOL(マスター・ヴォリューム)です。設計上の基準値はこちらも75%位です。この辺りだと限界値まで余裕があってハウリングを起こしにくいです。最終的な音量はアンプや、PA側で調整してください。

[ハウリング対策]
場所によってはFeedback Eliminatorが重宝する場合があります。ケース内に一つ忍ばせておけば安心ですね。

■B(ベース)、T(トレブル)の設定
シンプルなグライコ仕様です。ブーミーならBをカット(下げる)、ブライト感が足りなければTをブースト(上げる)してください。

■FQ(フリケンシー・コントロール)、MID(ミドル)
慣れれば簡単ですが、少し難しいのが”FQ”と”MID”の関係。どちらも中音域に影響を与える部分ですが、使い方にちょっとしたコツが必要です。

まずFQ(フリケンシー・コントロール)。中音域の可変域を設定出来る機能ですが、最初はセンター(12時位置)に設定してください。この時点で納得のいく音色、気になるポイントがない場合はそのままでOKです。

そして、MID(ミドル)。BやTとは大きな違いは、”ミドルのレベルを決定する”という点。右へ回せばブースト、左へ回せばカットしていきます。基本の使い方は下記な感じです。

1.MIDを100%(時計回りに右一杯)にする。
2.その状態から”FQ”を左から右へ(時計回り)に廻し、中音域の不快な点、気になる点が出て来たところで”MID”を下げる。

これで不要な中音域を調整出来ます。
逆にバンド等、他の楽器が混在する中で存在感を発揮したい場合は、中音域を強調するために上記と反対にセッティングしていく場合もあります。また、ライブ本番等で「じっくり音作りをする時間がないー!」という時は、FQもMIDもセンターに設定しておけば概ねクリアな感じになりますので、演奏の合間に微調整しましょう。

☆音作りのワンポイント
AP5-PROはピエゾ・ピックアップを軸に音作りを行い、コンデンサーマイクでエアー感をプラスしていくことを想定して設計されています。その為、まずピエゾ(PZ)と各イコライザー(B、T、MID、FQ)で音作りを行ってください。コンデンサーマイクは1KHz帯を抑えた設計で、各EQセクションも通らずダイレクトに出力されます。低音域への影響はありませんので、各EQ設定の後にコンデンサーマイクを混ぜていくのが音作りの近道です。

※故障、不具合について
AP5-PROは現場でのトラブルを軽減すべく可能な限りシンプルに設計し、一つのボックスにパッケージしています。故障率は非常に低く、ノイズ等のトラブルはセッティングに問題がある場合が多いです。
このAP5PROのセッティングには独自のセットアップ技術が必要な項目が多いため、不具合が発生した場合は必ずオフィシャルのメンテナンスを御依頼ください。受付はお求めになった店舗、または全国のメイトン取扱店へ御依頼頂ければ弊社でセットアップさせて頂きます。


好みの音色は十人十色、ご紹介した設定が全てではありません。色々と試してお好みの音色を見つけてくださいね。皆さんの音作りのヒントになれば幸いです。

以上、AP5-PROの解説でした!

»