艶消し塗装のお手入れ

「艶消し塗装のお手入れ方法を教えて欲しい」、これもよくご相談を頂きます。

先ず、メイトンの塗装方法は大きく分けて2つあります。

Satin Finish/サテンフィニッシュ=艶消し
UV Gloss Finish/UVグロスフィニッシュ=艶あり
*一部のモデル(オーストラリアンシリーズ等)はこれらの組み合わせ。

”サテンフィニッシュ”はメイトンでも多くのモデルで採用している艶のない塗装方法です。最大のメリットは”極限まで塗膜を薄くできる”事。お手元のギターや、上の画像を良~く見てください。木材の導管が判るくらい塗装が薄くなっている事がお判り頂けると思います。アコースティックギターは弦振動をナットとサドルを介してボディー(&ネック)に響かせる構造の為、出来るだけ塗膜を薄くしてより響きやすい状態を作る事もギター製作におけるサウンドメイキング方法の1つです。

UVグロスフィニッシュは光沢のある鏡面仕上げが美しい塗装方法です。”紫外線で硬化させる”という比較的新しい塗装方法で、メイトンでは数年前からUV塗装を採用しています。サテンと較べると厚さがあるものの、日々の研究を重ねて可能な限り薄い塗膜を形成しています。

塗装の種類を知って頂いたところで、ようやく本題です。。。
UVグロスフィニッシュは綺麗なクロスで拭き上げて頂ければ特に問題ありませんが、艶消しのサテンフィニッシュは注意が必要です。サテンフィニッシュは最終塗装時に”磨き上げないこと”で実現している為、一般的なポリッシュを使用すると艶が出てしまいます。

ボディーに皮脂等がついてしまった場合はポリッシュ等を使わずに、ゴミ等が付着していない綺麗なクロスで軽く拭き上げる事をお薦めします。この際、クロスでゴシゴシ拭いたりすると艶が出てしまいますのでご注意を….!

「市販されているサテン用ポリッシュは使っても良い?」
市販されている”サテン(艶消し)用ポリッシュ”については使用をお勧めしていません。一般的には”研磨材の入っていない”ものがサテン用のようですので使えなくはないのですが、なんからのケミカル成分が入っている以上、完全に拭き取らないと先の”導管”の溝に粉(?)詰まってしまう事があります。
以前、お客様からご相談を受けて実験した事がありますが、確かに導管に沿って細い線状のものが残ることがあるのを確認しています。この時は固く絞った濡れクロスで除去できましたが、「固まっちゃうと取れないこともありそう」というのがお勧めしない理由です。もしかすると、無色透明のサテン用ポリッシュがあれば上手くいくのかも知れませんが、クロスで乾拭きor固く絞った濡れクロス推奨です。


「ボディーやネック裏に艶が出ちゃった…!!」
これは艶消し塗装の宿命です。。。中の人の愛器もネック裏はしっかり光沢が出ています。手でよく触る部分、ネック裏や右肘の当たる辺りは手や衣服で”研磨”している状態と同様ですのでだんだんと光沢が出て来ます。人それぞれの弾き方があるように、光沢が出る箇所もさまざまです。”自身の歴史が刻まれている”と思えば更に愛おしくなるのではないでしょうか?

(※「どうしても艶消しの状態に戻したい!」という場合はギター全部を再塗装するしかありませんが、かなり高額になってしまいますので非推奨…)

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